「小林かいち・令和復刻プロジェクト」の発足について
「小林かいち・令和復刻プロジェクト」の発足について
2026年10月吉日
2026(令和8)年も錦秋の候を迎える中、KI東京企画(本社・東京都墨田区)では、20世紀に京都で活躍した画家・図案家、小林かいちの名作を復刻・再現するプロジェクトを新たに立ち上げることにいたしました。
「昭和100年」となる本年は、小林かいちの生誕130年にあたります。1896(明治29)年11月1日、京都に生まれた青年画家、かいちが美麗、かつ繊細な木版絵葉書・絵封筒の製作に没頭したのは、まさに1世紀前の大正から昭和に元号が推移する時代でした。かいち絵葉書の看板となる「現代的版画抒情絵葉書」の発行が始まるのは、1923(大正12)年の秋、未曾有の災害である関東大震災が日本を襲った直後です。罹災した多くの人が避難してきた京都の地で、人々を勇気づける新しい版画芸術の灯をともしたのが、三条新京極に店を構えたさくら井屋の主人・鳥居徳三郎と画家・かいちという若い2人のコンビでした。震災復興を告げる第1作「鐘が鳴る」に始まる「現代的版画抒情絵葉書」はこの後、当時の人々のさまざまな思いを反映した斬新かつ魅力的なシリーズとして、以後数年の間に38タイトルの作品が発行されました。
私たちは今回、シリーズ中の代表作である「抒情人形」に白羽の矢を立て、画家の二男である小林嘉寿氏、伊香保・保科美術館のご協力を得て復刻を行います。また、新たに製作を担っていただく美術書出版株式会社・芸艸堂のスタッフと相談しながら、4枚セットのうちの1枚を選び、絵葉書大からA4サイズに拡大した上で、異なる4つの色で再現いたしました。これは、当時から多くの女性に支持され、現在も愛好家の多い珠玉の「掌のアート」を、会場や自宅に飾ることのできる「展覧会芸術」に昇華させる道を与えることでもあります。
かいち作品は、大正ロマンの抒情画の儚さに、昭和モダンの明るさを加味した、独自の版画作品です。大正、昭和の時代的な特徴を反映させて「現代的版画抒情絵葉書」と名付けたことで、このシリーズは長く人々に愛され、版を重ねることができました。そこから約1世紀、大正・昭和さらに平成を経た令和時代のいま、かいち芸術を再び世の中に送り出すことで、不朽の作品に新たな輝きが生まれ、幅広い世代の方々のお目にとまることを願っております。
KI企画東京「小林かいち・令和復刻プロジェクト」
代表 生田 誠